☆ ちょっとまじめに「手のしびれ」のはなし 手根管症候群④
- 2022年12月3日
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2017年8月26日 読売新聞朝刊より(文責 岡田貴充)
手にしびれを来す病気はたくさんあります。手根管症候群は「首からの神経痛」といわれて経過をみられている事が多く、症状が長引いている際は首からの症状で正しいのかどうか疑わしい場合はセルフチェックが大事です。
診断では
①手首の手根管の真上を指などでたたくとしびれ、痛みが指先に響く(ティネル様サイン陽性)
②手首を直角に曲げて両手の甲同士を合わせて保持し、1分間以内にしびれ・痛みが悪化する(ファレンテスト陽性)
③母指球の筋力低下ややせ(筋委縮)があると親指と人差し指(示指)をつけてOKサインがうまくできない
④薬指の感覚が親指側の半分だけ鈍い
などが手根管症候群を疑う症状と診察所見になります。
特に大事なのが④です。薬指の親指側半分と小指側半分で感覚に違いがあるかどうか、しびれがひどい時間帯を狙ってチェックしてみて下さい。首からの神経の圧迫ではここで差が出ません。手根管症候群では、ここで差がはっきりとしていて「薬指の親指半分だけ」がしびれています。
手術をしても回復が悪い時期までたってから私のところに受診される方が後をたちません。そのため、このポイントを皆さんに広く知っていただこうと思って、新聞で記事を書いたり市民公開講座でおはなししたりしています。講演中にお話しをしながら実際にご自分でチェックしていただきます。このお話しをした後は、セルフチェックをして自分がまさに手根管症候群だと診断された方が、講演会場でわたしに直接手を見せに来られます。詳しく手を診察してみるとほとんどの方で他のセルフチェックポイントも認め診断に大きく近づきます。
病院を受診されていても専門医でなければ診断がむずかしこともありますので、心配な場合は「手の外科の専門医」に相談してみてください。
診断はこうした診察所見に加えて、最終的に「神経伝導速度検査」を行って診断します。神経に電気を流して神経を伝わるスピードを測定して正確に診断を下します。
当クリニックでは、大きな病院にしかおいていない最新式の神経伝導速度検査機器を設置しておりますので、ご心配な際はご相談ください。
一にも二にも、「正しい診断」が大事です。ご自分に症状がなくても、ご自分のお母様やおばあさまの手をとっていただいて、親指の根元のふくらみがなくなっていないか、手がしびれていないか気にかけてあげて、ぜひ「セルフチェック」をしてみてください。
本日のポイント
- 手がしびれる場合は、「薬指」の「親指側半分」と「小指側半分」で感覚に差がないかをチェックする。
- 特にしびれがひどいときにチェックすると診断がつきやすい
本日は以上です。手根管症候群もう少し話を深めていきます!!