手のしびれでお困りではありませんか？

寒くなってくると余計にしびれが強く感じられるので、私の外来にも手のしびれでお困りの患者さんが増えています。脳から出た神経は首を通って脇（わき）にいたる過程で橈骨神経、尺骨神経、正中神経の３本の神経に枝分かれして手先まで伸びます。神経はいわゆる電線で、神経の中を電気がはしって信号を伝えます。脳から手先までのどこかで神経が圧迫されたり痛んだりすると、我々は「しびれ」として自覚します。

手がしびれたときは、①脳に異常を生じた場合、②首（頸椎）部分で神経が圧迫された場合、③首から脇の間で神経が圧迫された場合、④それより末梢の橈骨神経、尺骨神経、正中神経と名前が分かれた部分で神経が圧迫された場合と大きく４つに分かれています。神経を専門で診察するドクターは、これらのことを念頭において、しびれの範囲、症状の出現のしかた、運動の麻痺の合併などを元に診断をして行きます。どこでしびれが生じても患者さんは困りますが、中には脳卒中やがん等が隠れている場合があるので注意が必要です。この点については、「整形外科 日常診療のエッセンス 上肢 – メジカルビュー社　2019年7月1日刊行 ISBN978-4-7583-1865-5｣

「上肢に痛みを生じる鑑別疾患」の項目を、私が担当しました（気合い入れて書きました！）。興味のある方はぜひお読みください。

 

 

こんなことを書くと、手がしびれるとなにか怖い病気が原因なんじゃないかと怖くなってしまいますが、ご安心ください。手にしびれを生じる病気としては悪い病気でない事の方が圧倒的に多くなっています。しびれが続く場合は、「しびれをなくす治療」も大事ですが、まずは「正しい診断」を行う事がもっとも大事となります。