成長期の子どもに多い「オスグッド・シュラッター病」とは?|おかだ整形外科 スポーツ・リハビリクリニック|久留米市の整形外科

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医療コラム

成長期の子どもに多い「オスグッド・シュラッター病」とは?|おかだ整形外科 スポーツ・リハビリクリニック|久留米市の整形外科

成長期の子どもに多い「オスグッド・シュラッター病」とは?

皆さま、こんにちは!

おかだ整形外科スポーツ・リハビリクリニック理学療法士の岩本康佑です。

今回は、成長期の子どもに多い「オスグッド・シュラッター病(以下、オスグット病:)」についてお話しさせていただきます。

 

 成長期の子ども、特にスポーツを活発に行っている小、中学生に多く見られる膝の痛みの一つに「オスグッド病」があります。運動をしている子どもたちの間ではよくみられる障害です。

一般的にオスグッド病は自然に治ると言われることもありますが、大きな間違いです。

「成長期だから仕方ない」「そのうち痛みは消えるだろう」 そんな風に思っていませんか? 確かにオスグッド病は、時間と共に症状が軽くなることもあります。しかし実際には、適切な治療を受けなければ長引いたり、再発を繰り返すケースが多く、 スポーツのパフォーマンス低下や、ひどい場合は膝の変形にまでつながる恐れがあります。そのため、早期の診断と治療が重要になります。

 

オスグッド病の原因とは?

 オスグッド病は、膝のすぐ下にある「脛骨粗面(けいこつそめん)」という骨の部分に炎症が起こる障害です。脛骨粗面は、大腿四頭筋という太ももの前の筋肉と膝蓋腱(しつがいけん)を通じてつながっており、ジャンプやダッシュ、蹴る動作などによって大きな負荷がかかる部位です。

成長期には、骨の成長スピードに筋肉や腱の成長スピードが追いつかず、大腿四頭筋が硬くなりやすい傾向があります。その状態で激しい運動を繰り返すと、脛骨粗面が引っ張られる形になり、結果として微細な損傷や炎症が起こります。この炎症が痛みの原因です。特にジャンプ、ダッシュ、方向転換の多いスポーツ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技など)をしている子どもに多く見られます。

 

オスグット病の主な症状とは?

 オスグッド病の代表的な症状は以下の通りです。

・ 膝の下(脛骨粗面)に痛みがある

・ 押すと痛みを感じる

・ ジャンプ、全力疾走などで痛みが増す

・ 膝下に腫れや骨の出っ張りが見られる

・ 片足だけに出ることが多いが、両膝に出ることもある

・ 重症化すると日常生活でも痛みが続くことがある

 

オスグッド病の対策と治療法

 オスグッド病は、適切な対処を行えば悪化を防ぐことができます。以下に、効果的な対策を紹介します。

1. 運動の制限・一時中止

 痛みが強い時期は、ジャンプやダッシュなど負担の大きい運動を避け、運動量を制限することが重要です。痛みが軽度の場合でも、無理に運動を続けることは避けましょう。

2. アイシング(冷却)

 運動後や痛みが強くなった時に、氷や保冷剤で膝下を15~20分冷やすことで炎症や腫れを抑える効果があります。

3. ストレッチと筋肉の柔軟性向上

 大腿四頭筋やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)、ふくらはぎなどの筋肉をしっかり伸ばすことで、脛骨粗面への牽引力(引っぱる力)を軽減できます。特に運動前後のストレッチは習慣化させましょう。

4. サポーター・ベルトの使用

 専用の膝下パッド(オスグッドバンド)やサポーターを使うと、膝蓋腱による脛骨粗面への牽引力を軽減し、痛みを和らげる効果が期待できます。

 

自宅でも簡単にできるストレッチをご紹介します!

①大腿四頭筋(太ももの前)を伸ばすストレッチ

目的:膝下にかかる牽引力を軽減するため。

方法:

1. 横向きに寝る、もしくは立ったまま片足を後ろに引く。

2. 引いた足の足首を手でつかみ、かかとをお尻に近づける。

3. 太ももの前側がじんわり伸びているのを感じたら、そのまま15~30秒キープ。

4. 左右交互に2~3セット行う。

※ 腰を反らないように注意。膝が痛む場合は無理に行わない。

 

② ハムストリング(太ももの裏)とふくらはぎのストレッチ

目的:膝の負担を減らし、全体のバランスを整える。

方法:

1. 床に座り、片足をまっすぐ前に伸ばし、もう片方の足は膝を曲げて内側に倒す。

2. 背筋を伸ばしたまま、前に倒れてつま先を手でつかむ。

3. 太ももの裏側が伸びているのを感じながら15~30秒キープ。

4. 左右交互に2~3セット行う。

※ 背中を丸めず、ゆっくり息を吐きながら行う。

 

③ ヒラメ筋(ふくらはぎの深い筋肉)ストレッチ

目的:足首の柔軟性を高め、膝への衝撃を緩和。

方法(壁を使う):

1. 壁に手をついて立つ。

2. 痛くない方の足を前、痛む方の足を後ろに引く(かかとを床につけたまま)。

3. 後ろ足の膝を軽く曲げて、ふくらはぎの深い部分が伸びるのを感じながら15~30秒キープ。

4. 左右交互に2~3セット行う。

※ かかとを浮かさず、無理な力を入れない。

 

当院では、オスグッド病の治療に特化した最新の治療機器を導入!

1. リーパス

 低出力の超音波を患部に当てることで、脛骨粗面にみられる腫れや炎症を抑えて、痛みを軽減させます。筋肉や靭帯・腱・骨などの損傷した組織に対して効果的な改善が望めます。

 

2. 体外衝撃波治療
 傷んだ組織を衝撃波で破壊して炎症反応を引き起こすことで、治癒反応を高めて完治に向かわせる治療法です。

 

まとめ

 当院では、単に「痛みを取る」だけでなく、再発防止と安全なスポーツ復帰を目指した総合的なサポートを行っています。オスグッドは、成長期にスポーツを頑張る子どもによく見られる膝の障害です。一時的な痛みであっても放置せず、運動量の調整やストレッチ、アイシングなどを適切に行うことで、症状を和らげ、早期回復を目指すことができます。保護者や指導者は、子どもの痛みの訴えにしっかり耳を傾け、無理をさせない環境を作ってあげることが何よりも大切です。

「ただの成長痛」だと思わず、お気軽に当院までご相談ください。