第1回|手根管症候群とは?初めての方にもわかりやすく解説
- 2026年3月14日
- スタッフブログ
こんにちは。院長の岡田です。
日々の生活の中で、「なんとなく指先がピリピリとしびれる」「朝起きた時に手がこわばって動かしにくい」と感じたことはありませんか?特にお箸が使いにくくなったり、小銭がつかみづらくなったりすると、何か大きな病気ではないかと不安になりますよね。
今回から数回にわたり、手のしびれを引き起こす代表的な疾患である「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」について、専門用語を噛み砕きながら、初めての方にもわかりやすく解説していきたいと思います。
第1回目となる今回は、そもそも「手根管症候群とはどのような病気なのか」という基本についてお話しします。
1️⃣ 手根管症候群とはどんな疾患か
手根管症候群とは、一言で言えば「手首にある神経の通り道が狭くなり、そこを通る神経が圧迫されることで、手にしびれや痛みが生じる病気」です。
この疾患の最大の特徴は、「親指から薬指の半分(親指側)にかけてしびれが出ること」です。薬指の親指側半分と小指側半分で感覚が違うことがこの病気を見分けるための大きなポイントとなります。
初期の段階では、明け方にしびれが強く出ることが多く、手を振ったり指を曲げ伸ばししたりすると少し楽になるという特徴があります。しかし、そのまま放置して進行してしまうと、しびれが常態化するだけでなく、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてしまい、ボタンをかける、縫い物をする、といった細かい作業が困難になるなど、日常生活に深刻な支障をきたすようになります。

2️⃣ 手根管の構造と正中神経の役割
では、なぜ手首で神経が圧迫されてしまうのでしょうか。それを理解するために、手首の内部構造について少しご説明します。
私たちの手首には「手根管(しゅこんかん)」と呼ばれる、文字通りのトンネルがあります。このトンネルは、底と側面を「手根骨(しゅこんこつ)」という骨に囲まれ、天井部分は「屈筋支帯(くっきんしたい)」という強靭な靭帯で蓋をされています。
この非常に狭いトンネルの中を、以下の重要な組織が通り抜けています。
・指を曲げるための9本の腱(屈筋腱)
・正中神経(せいちゅうしんけい)
ここで鍵となるのが「正中神経」です。正中神経は、手のひらの感覚(親指から薬指の半分まで)を脳に伝える役割と、親指を複雑に動かすための筋肉に指令を出す役割という、非常に重要な2つの任務を担っています。手根管症候群は、この狭いトンネルの中で正中神経が「ぎゅうぎゅう詰め」の状態になり、物理的に押しつぶされてしまうことで発症するのです。

3️⃣ なぜ症状が出るのか(概要)
トンネル内がぎゅうぎゅう詰めになり、神経が悲鳴を上げてしまう原因は、主にトンネル内の「圧力の上昇」にあります。
原因は大きく分けて2つのパターンが考えられます。一つは、トンネルの中を通っている「指を曲げる腱」の周りの膜が、使いすぎや炎症によって厚くなってしまうケース。もう一つは、怪我や加齢による骨の変形、あるいはホルモンバランスの変化などによって、トンネル自体のスペースが狭くなったり、周囲の組織がむくんだりするケースです。
神経は、血管と同じように常に新鮮な血液から酸素や栄養を受け取っています。しかし、トンネル内で圧迫を受けると血流が滞り、神経が酸欠状態に陥ります。その結果、しびれや痛みといったサインが脳へ送られるようになるのです。
4️⃣ よくある誤解
診察室で患者様とお話ししていると、いくつか共通した「誤解」をされていることが多くあります。
「手のしびれ=脳の病気や首のヘルニアだと思い込む」
もちろん、脳梗塞や頸椎の問題で手がしびれることもあります。しかし、手根管症候群には「小指だけしびれない」「手を振ると楽になる」「夜間や明け方に悪化する」といった独特のサインがあります。自己判断で「もう年だから仕方ない」と諦めてしまう前に、専門医による診断を受けることが大切です。
「使いすぎだけが原因だと思い込む」
仕事で手を酷使する方に多いのは事実ですが、実はそれだけではありません。特に40代以降の女性に多く見られることから、女性ホルモンの変化が関係していることもわかっています。また、糖尿病や透析を受けている方、リウマチなどの持病が隠れている場合もあります。
5️⃣ まとめ
今回は、手根管症候群の基本的な仕組みについて解説しました。
手首のトンネル(手根管)で「正中神経」が圧迫される病気である。
親指から薬指にかけてしびれが出て、小指には出ないのが特徴。
構造的に余裕のない場所で、炎症やむくみが起きることで発症する。
「もしかして自分も当てはまるかも?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。この病気は、早期に発見して適切な治療(安静や装具固定、投薬など)を始めることで、手術をせずに改善するケースもたくさんあります。
「手のしびれ」は、体からのSOSです。一人で悩まず、ぜひお気軽に当院へご相談ください。皆様が快適な日常生活を取り戻せるよう、全力でサポートさせていただきます。
次回は、より掘り下げて「第2回|手根管症候群の原因とは?」というテーマでお届けします。なぜ女性に多いのか、どのような職業や習慣がリスクになるのかを詳しく解説していきます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


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