第2回|手根管症候群の原因とは?なぜ起こるのかを整理
- 2026年3月25日
- スタッフブログ
こんにちは。院長の岡田です。
前回のブログでは「手根管症候群とは何か」という基本的な仕組みについてお話ししました。手首にある小さなトンネル(手根管)の中で、大切な神経(正中神経)が圧迫されることでしびれや痛みが出る、という内容でしたね。
では、なぜそのトンネル内が狭くなってしまうのでしょうか。第2回目となる今回は、「手根管症候群の原因」に焦点を当てて、詳しく解説していきたいと思います。
1️⃣ 手根管症候群の主な原因
手根管症候群の原因は、実は一つだけではありません。多くの場合、複数の要因が重なり合って発症します。
根本的な理由は、手首にある「手根管」というトンネルのスペースに余裕がなくなることです。このスペースを狭くする主な要因には、以下のようなものが挙げられます。
・腱鞘(けんしょう)の腫れ: 指を動かす腱を包む膜が炎症を起こして厚くなる。
・手首のむくみ: 体内の水分バランスが変化し、手首周辺に水分が溜まる。
・骨の変形: 過去の骨折や加齢によって、トンネルの壁である骨が変形して内側へ突き出す。月状骨に異常を来たす「キーンベック病」が原因となることもあります。
・腫瘍(しゅよう): トンネル内にガングリオンなどの良性のデキモノができる。
これらの要因によって、デリケートな正中神経が逃げ場を失い、物理的な圧迫を受けてしまうのです。

2️⃣ 仕事・生活習慣との関係
「手根管症候群は使いすぎが原因」というイメージをお持ちの方も多いかと思います。実際、手首を頻繁に動かす習慣は、発症のリスクを高める大きな要因となります。
特に、以下のような動作を日常的に行う方は注意が必要です。
・パソコン作業: 長時間のキーボード入力やマウス操作で手首を反らせた姿勢を続ける。
・手仕事: 裁縫、編み物、料理人、大工仕事など、指先に力を入れる動作が多い。
・振動: 工事用ドリルやバイクの運転など、手首に強い振動が伝わり続ける。
これらの動作を繰り返すことで、指を動かす「腱」と、それを包む「腱鞘」の間に摩擦が生じます。すると腱鞘が炎症を起こして分厚くなり、結果として同じトンネル内を通っている神経を圧迫してしまうのです。


3️⃣ ホルモン・基礎疾患との関連
手首を酷使しているわけではないのに発症するケースも少なくありません。ここで深く関わってくるのが「ホルモンバランス」と「基礎疾患(持病)」です。
■ 女性ホルモンの影響
手根管症候群は、特に中高年の女性や、妊娠・出産期の女性に多く見られます。これには女性ホルモンの変化が大きく関係しています。ホルモンバランスが乱れると、体内の水分が保持されやすくなり(むくみ)、手根管内の圧力が上昇しやすくなるためです。
■ 基礎疾患(持病)の影響
以下のような持病がある方は、手根管症候群を併発しやすいことが知られています。
・糖尿病: 神経自体がダメージを受けやすくなり、少しの圧迫でも症状が出やすくなります。
・関節リウマチ: 滑膜(腱の周りの膜)に強い炎症が起きるため、トンネル内が圧迫されます。
・人工透析: 透析を長期間受けている方は、アミロイドという物質が手根管内に沈着しやすくなります。
・甲状腺機能低下症: 全身にむくみが出やすくなるため、手首も影響を受けます。
4️⃣ 原因が一つとは限らない理由
診察をしていて非常に多いのが、「使いすぎ」と「体質」の両方が組み合わさっているケースです。
例えば、「もともと骨格的に手首のトンネルが狭い女性」が、「仕事で少し手首を使いすぎた」際に、さらに「更年期によるホルモンの変化」が重なると、一気に症状が表面化することがあります。
原因を特定することは大切ですが、多くの場合は「複数の小さな負担が積み重なって、コップの水が溢れるように発症した」と捉えるのが自然です。そのため、治療においても「安静にする」だけでなく、「持病のコントロール」や「ホルモンバランスへの理解」など、多角的な視点が必要になります。
5️⃣ 原因を知ることの重要性️
なぜ、原因を詳しく知る必要があるのでしょうか。それは、原因がわかれば「日常生活での対策」が立てられるからです。
仕事が原因であれば作業環境(デスクの高さやマウスの持ち方)を見直すことができますし、むくみが原因であれば塩分を控えたり休息を増やしたりといった対策が有効です。また、糖尿病などの持病が隠れていることに気づくきっかけにもなります。
「ただのしびれだから」と放置せず、自分の体のどこで、何が起きているのかを正しく理解することは、完治への第一歩となるのです。
6️⃣ まとめ
第2回となる今回は、手根管症候群の原因について整理しました。
・主な原因は、腱の腫れやむくみによってトンネル内の圧力が上がること。
・仕事や趣味での「使いすぎ」は有力な引き金になる。
・女性ホルモンの変化や、糖尿病・リウマチなどの持病も深く関係している。
・多くの場合、複数の要因が重なり合って発症する。
ご自身の生活を振り返ってみて、思い当たる節はありましたでしょうか?原因が多岐にわたるからこそ、専門的な診断を受けることが非常に重要です。
さて、次回はさらに具体的に「手根管症候群の症状」というテーマでお届けします。
「自分のしびれは本当に手根管症候群なの?」「放っておくとどうなるの?」という疑問にお答えします。特有のしびれ方や、筋力低下のサインについて詳しく解説しますので、ぜひチェックしてください。
手のしびれや違和感でお困りの際は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。原因を一緒に見つけ出し、最適な解決策をご提案いたします。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


(初診・再診)