第4回|手根管症候群セルフチェック|自分でできる確認方法
- 2026年4月19日
- スタッフブログ
こんにちは。院長の岡田です。
シリーズでお届けしている「手根管症候群」の解説も、今回で4回目となりました。前回は、初期から進行期にかけての症状の変化についてお話ししました。朝方のしびれや、小指を除いた指先の違和感が、実は体からの大切なサインであることをご理解いただけたかと思います。
今回は、皆様がご自宅ですぐに実践できる「手根管症候群のセルフチェック方法」をご紹介します。「最近、手がしびれるけれど、これって本当に手根管症候群なの?」と疑問に感じている方は、ぜひ読み進めながら一緒に試してみてください。
1️⃣セルフチェックの目的
セルフチェックを行う最大の目的は、「早期発見」にあります。
手根管症候群は、初期の段階であれば安静や投薬、装具療法といった「切らない治療」で十分に改善が見込める疾患です。しかし、第3回で解説したように、筋肉が痩せてしまうまで進行すると、回復に時間がかかったり、手術が必要になったりすることも少なくありません。
自分の現在の状態を客観的に確認することで、「単なる疲れ」なのか「専門的な治療が必要な状態」なのかを見極める一助にしましょう。
2️⃣自宅でできる簡易チェック方法
代表的な3つのチェック方法をご紹介します。無理のない範囲で試してください。
① ファレンテスト(Phalen test)
これが最も有名で、精度の高いテストです。
1.胸の前で両手の「手の甲」を合わせます。
2.指先を下に向け、手首を直角に曲げた状態を維持します。
3.そのまま1分間キープしてください。
判定: 1分以内に指先のしびれや痛みが強くなる、または誘発される場合は、手根管症候群の可能性が高いです。

② ティネル様サイン(Tinel sign)
神経が過敏になっているかを確認する方法です。
1.手のひらを上に向けます。
2.反対の手の指先で、手首のしわがあるあたり(真ん中付近)を軽くトントンと叩きます。
判定: 叩いた時に、指先(親指から薬指)に向かって「ピリッ」と電気が走るような響きがある場合は陽性です。

③ 筋肉の痩せチェック
見た目で確認する方法です。
1.両手の親指の付け根(手のひら側)にある、ふくらんだ筋肉(母指球筋)を見比べます。
2.親指と小指をくっつけて「OKサイン」のような形を作ります。
判定: 左右で比べて、しびれがある方の筋肉が凹んでいたり、皮膚にシワが寄って平らになっていたりする場合、また親指に力が入りにくい場合は進行しているサインです。

3️⃣チェック結果の考え方
テストの結果はいかがでしたでしょうか。
もし1つでも当てはまる項目があった場合、手首の「手根管」で神経が圧迫されている可能性が否定できません。特に「ファレンテスト」で1分待たずにすぐしびれが出る場合は、圧迫が比較的強い状態と考えられます。
また、前述した通り「小指だけは全くしびれない」という特徴が重なっている場合、より手根管症候群である可能性が高まります。逆に小指までしびれる、あるいは腕全体がしびれるといった場合は、首(頸椎)や他の神経の通り道に問題がある可能性も考えられます。
4️⃣セルフチェックの限界
ここで大切な注意点があります。セルフチェックはあくまで「目安」であり、「診断」ではないということです。
神経の圧迫の程度や原因は、人によって千差万別です。
・テストで反応が出なくても、初期の段階では症状が隠れていることがあります。
・他の病気(糖尿病性神経障害や頸椎症など)が原因で、似たような反応が出ることもあります。
・自分で強く叩きすぎたり、無理に曲げたりすると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。
「チェックで反応が出なかったから大丈夫」と過信せず、違和感が続くようであれば、専門家による正確な検査を受けることが大切です。
5️⃣医療機関を受診すべき目安
「いつ病院に行けばいいのか」と迷われている方は、以下の基準を参考にしてください。
・夜中や明け方に痛み・しびれで目が覚める。
・手を振っても、しびれが取れなくなってきた。
・ボタンがかけにくい、小銭をよく落とすなど、細かい作業がしにくい。
・親指の付け根の筋肉が痩せてきた。
これらの症状は、神経のダメージが蓄積されている証拠です。早めに受診することで、治療の選択肢が広がり、よりスムーズな回復が期待できます。
当院では、神経伝導速度検査という精密な検査によって、「正しい診断」と「手根管症候群の重症度判定」を行い、一人ひとりに最適な治療プランをご提案しています。
6️⃣まとめ
第4回となる今回は、手根管症候群のセルフチェックについてお伝えしました。
・ファレンテスト(手の甲を合わせる)は、非常に有効な確認方法。
・ティネルサイン(手首を叩く)で響きがないか確認。
・筋肉のふくらみに左右差がないか目視でチェック。
・セルフチェックはあくまで目安。違和感があれば早めの専門受診を。
自分の手の状態を知ることは、健康を守るための第一歩です。もしチェックで不安を感じたなら、それは自分の体をいたわるチャンスだと捉えてくださいね。
さて、次回は「第5回|手根管症候群の治療法」についてお届けします。
「手術をせずに治せるの?」「どんなリハビリがあるの?」といった疑問にお答えします。保存療法から手術療法まで、当院で行っている最新の治療についても詳しく解説します。
手の健康を保ち、快適な毎日を送りましょう。不安なことがあれば、いつでも当院へご相談ください。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


(初診・再診)