ペインクリニック
ペインクリニック
痛みを改善するための方法は大きく2つあります。
①抗炎症剤などの内服
②注射療法
痛みやしびれなどの症状に内服薬で改善がみられない場合は注射療法を行います。「注射は一時的なもので、薬の作用がなくなると元通りに戻るのでは?」と思われるかもしれません。各種注射療法には、痛みを緩和するためだけの「痛み止め」の目的ではなく、原因そのものを治すことを目的としています。
内科の先生は聴診器を用いて心臓の音、呼吸の音を聞いて診断していきますが、整形外科にとって聴診器の代わりになるのがエコーになります。
技術の進歩により、神経、筋肉などレントゲンでは映らない組織がエコーにより鮮明に見えるようになってきました。エコーガイド下ブロック注射が注目されるようになってきました。
従来の注射は、皮膚の表面から触診でわかる骨や筋肉を目印に、医師の経験を元に針を刺していました。これはこれでエコーに比べ短時間で施行できますし、危険な組織がない部分ではこの方法で充分対応が可能です。
エコーガイド下注射法は、エコーを用いて、関節、筋肉、神経・血管などを確認しながら針を刺入して行く、注射のことです。針先の進んで行く方向や薬の注入された拡がりも確認できるので、目的とする①トリガーポイント②筋膜③関節④末梢神経や硬膜外空その周囲に正確に薬を注入できます。また針を刺して痛めてはいけない神経や血管をよけて針を進めることができるので、安全性も向上します。
当クリニックでは必要に応じてエコーを用いて各種注射療法を行います。エコーを使って直接組織をみながら、「正確」に「安全」に注射を行います。
痛みの引き金となっている場所「トリガーポイント」に炎症止めのお薬と軽い麻酔のお薬を注射して、局所の炎症・痛みを止める注射です。このトリガーポイントは7~8割が“つぼ”と一致していることがしられています。エコーでは筋肉の「しこり」としてみるため、エコーガイド下トリガーポイントを必要に応じて行っています。
痛みがあると血管が収縮し局所の血の巡りが悪くなっていますので、痛みを緩和することで、局所の循環を改善させることで痛んだ組織の修復を促します。
肩の「こり」や腰の「はり・こり」でなやんでいらっしゃる方は多いと思います。これらは筋膜性疼痛症候群と呼ばれます。エコーで白く分厚くみえる筋膜には、高率にトリガーポイントが存在するといわれており、これらの疾患にはエコーで筋膜の「こり」をみながら薬液を注入してこりをゆるめていく「筋膜リリース」という方法を用いて治療します。
生理食塩水を用いて筋膜リリースを行う際は「ハイドロリリース」と呼ぶこともあります。当クリニックでは、理学療法による筋膜リリースと組み合わせて痛みの改善をはかります。
「筋膜リリース」とは、“筋膜はがし”とも呼ばれ、筋膜が硬くなったり、癒着している筋膜をはがして「筋膜性疼痛」を改善する方法です。
肩関節、手関節、肘関節、足関節や手足の指の関節にはエコーを用いて注射を行います。エコーを使わなくても上手な先生は関節の中に注射液を入れることはできますが、注射で組織の癒着(ゆちゃく)を剥がしながら薬を注入したり、非常に小さい関節に丁寧に注入するにはエコーを見ながらの注射でなければ困難です。正確、繊細な治療にはエコーが必要となります。
エコーガイド下末梢神経ブロック注射疼痛が強く、お困りの方に、より大きな鎮痛・血行改善・筋弛緩効果を得るために末梢神経ブロックを行います。疼痛領域を支配する末梢神経の周りにエコーで見ながら針をすすめて、確実に神経をブロックします。
手根管症候群では、正中神経をよけてその下を滑走している屈筋腱のはれた腱鞘にむけて薬液を注入します。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症で、強い下肢痛、腰痛の方に行います。この注射は診断を確定させた後に行い、より安全に行うために、かならずMRI検査を受けていただいた後に行っています。エコーを用いて行うことで、確実性・安全性が向上します。
神経ブロックに関しては、血液をサラサラにする薬を服用されている方は注射針により内出血を起こす可能性が高いため、これらのお薬を内服されているかどうかを確認させていただきます。神経ブロックはそのほとんどが保険適用です。注射後には一緒に運動神経もブロックしてしまうため、ブロックした領域の筋肉の動きが一時的に麻痺することがあります。
仙骨裂孔ブロックなどの場合は足に力が入らず、転倒の可能性がありますので、院内で30分程度休憩し、神経機能の回復を確認してから帰宅していただいています。
当日は、車ではなく公共交通機関を利用しての来院を推奨しています。